Renovation Archives[100] 井野アーティストヴィレッジ

INAXのWEBサイトRenovation Forumのコンテンツのひとつ、Renovation Archivesにて担当した事例が掲載されました。

Renovation Archives[100]
井野アーティストヴィレッジ

前回、取手市のTAP(取手アートプロジェクト)を取り上げてさせ頂きました。今回も東京藝術大学、渡辺教授の協力を得て取材させていただきました。大型住宅団地が抱える深刻な問題解決のための新たな切り口として、今後の活動に期待していきたいと思います。

「100事例」を目指し、研究者、学生、実務者などによるコントリビュータが各地で取材を重ね、祝・目標達成!「地域」「オフィス」「住宅」「アート」などのカテゴリー化し、俯瞰的に見る事ができいろいろと発見があります。ぜひ、活用してください。


Book Picks

【本】★★★★★

題名:生きのびるためのデザイン
著者:ヴィクター・パパネック Victor Papanek
(訳:阿部公正)
発行:1974
出版社:晶文社

30年以上も前に書かれたものだが、今でも通用する「デザイン理論」というより「デザイン哲学書」とでも言うべきでしょうか。邦題の『生きのびる~』では なく、元の『Desgin for the Real World』の方が、しっくりくる。著者が意図する「The Real World」がものすごく大切な気がするのです。このニュアンスを日本語に置き換えるのはとても難しいので、翻訳者も苦労したのかと思われます。





フランク・ロイド・ライトの弟子、エスキモー族やバリ族とともに寝食をともに暮らしたという、 パパネック氏。本書では、デザイナーがどこまで意識を広げデザインすることの重要性を説いている。利益重視のマーケット事情ではなく、第三世界の人々(病 人、老人、身体障害者…etc)や資源問題や環境問題もきちんと視野に入れるべきだと。今まさに窮地に立っている地球環境を考えると身につまされる。デザ イナーや建築家の仕事がよくお医者さんに例えられることが多いが、お医者さんでも外科医、整形外科、精神科など千差万別。表面的なものを幾ら操作しても、 科学的なもが発展しても、人間には温もりや、太陽、土、水がないと健全には生きていけないのだと強く思う。

Book Picks

【本】★★★★★

題名:なぜデザインなのか。
著者:阿部雅世 対談 原研哉
発行:2007

欧州をフィールドに活躍しているアーキテクトデザイナー・阿部雅世さんと、言わずと知れたグラフィックデザイナーの原研哉さんの濃密な対談本。建築、プロ ダクト、グラフィック、ワークショップ、書籍、生活など様々な事柄を行き来しながら、それら全ての根底にある「デザインとは?」という本質に触れている。

両者の実体験に基づいた歯に衣着せぬ言葉から、いままでの、そしてこれからの「デザイン」のあり方を、たくさんの人達と大切に考えていきたい。



デザインは世界をバランスさせていく合理性そのものと言ってもいい。デザインはその生い立ちからいっても理 想主義的な思想です。試行錯誤の果てに、最適な答えを見つけていくとか、すごくいい問いを発見するとか、ひたすら、一生懸命に考え続ける姿勢がデザインの 本質なんですね。問題解決のための方法はひとつしかない。「ひたすらみんなで考え続ける」ということでしかないんですよ。いろんな人たちが脳を運動させて いける問いかけをたくさんつくればつくるほど、好ましい方向に世界は自己組織化されていく。デザインはそういうことを考えるモチベーションとしてすごく強 力なもので、いま世界が求めている理性というか、世界を均衡させていく仕組みをちゃんとつくっていくという視点に、デザインは最初から立っていると思うん です。そういう意味でできるだけ多くの人たちにデザインのリアリティに目覚めてもらいたいと思います。(話し手:原氏 p.112)

「精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる」というサン=テクジュペリの言葉(「人間の大地」訳:内藤濯)があります。生活哲学という 精神の風を、人に、素材に、技術に、吹き込むことで、私たちは、初めて「粘土の魂」や「技術の魂」を超えるものを創ることができるのではないでしょうか。 それによって、「モノ」は、便利でお得なだけではない、息遣いが聞こえてくるような生活の要素になるのではないかと。これからは、そういう質の高い創造 が、デザインに求められる時代になるのではないかと、そんなふうに感じています。(話し手:阿部氏 p.264)