Book Picks

【本】★★★★
題名:カイエ・ソバージュ1: 人類最古の哲学
著者:中沢新一
(2002 /講談社選書メチエ231)

この人の講義を聞きたい!という欲求を満たし、ライブ感も味わえるシリーズもの。引き寄せられるように手にしたのは、今月4日に20世紀が誇る知の巨人レヴィ=ストロースが逝ってしまったからか。故人から多大な影響を受けている著者を通じ、『野生の思考』の感触を味わってみたくなる。人類学、哲学、美術、自然、文化そしてあの世やこの世…etc、果てしない旅の入口はシンデレラ物語だった。

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Book Picks

【本】★★★★1/2
名:モノからモノが生まれる
著者:ブルーノ・ムナーリ
(2007 /みすず書房)

ムナーリが最後に綴った本であり、今までの集大成的な役割を果たしている。企画の方法論はいくらでも応用できるし、ありとあらゆることに通じていると読者 の狭い視野を広げてくれる。料理のレシピ、こどものための本、おもちゃ、家具、車、居住空間、手がけたものや学生のもの、作者不明の不朽の名作を通じてデ ザインのあるべき姿を示してくれる。日本のノコギリやかつての居住空間にも触れており、潔いデザインは世界言語なんだと再認識することができます。





年老いた人は、考え方を修正するのに大変苦労するとよく言われる。それはまさしく、人生の初期に習得した事 柄が、そののちずっと膠着した規則のように居座り続けるからである。多くの人にとって、その規則を変更するということは、まるで安全を失い、危険をおかし て見知らぬ状況に飛び込むようなことだ。

(p.226)

子供にどのように遊ぶのか”説明”する必要はない。説明するのはきっと子供たちの方だろう。教養がありすぎて理解できないのは大人の方なのだ。

(p.243)

Book Picks

【本】★★★★★
題名:大竹伸朗 全景 1955-2006
著者:大竹伸郎
(2008 / グラムブックス)

2007年東京都現代美術館全フロアで行われた個展を、丸一年かけてまとめた『全景』の公式カタログ。片手なんぞでナメて持つと脱臼します。視覚を通じて 世界観を感じる書籍はあるが、身体で感じる本はなかなか無い。入れ子のようにカタログが収録され、底なし沼の作家性に完全に呑まれてしまう。素晴らしいと いう言葉よりも、「なんだか猛烈にすごい」本です。




1200ページ、総重量が6kgというすごさ。
(広辞苑が3.5Kg お米5kgよりも重い…)

←1セントコイン豚

Book Picks

【本】★★★1/3
題名:アンリ・カルティエ=ブレッソン
著者:クレマン・シェルー
(2009 / 「知の再発見」双書143)

報道写真のレベルを芸術の域に押し上げ、力強く裏付けられた「なまざし」の軌跡を豊富な資料で辿る。画家を目指し絵画やスケッチにより培った構図、ジャ ン=ルノワールやシュルレアリズムの関わりもあったとは。被写体との距離感、「その時」を待つことの重要性、「マグナム」設立、と守るべきものを貫くため にしてきたこと。残されている簡潔な言葉の一つひとつが詩のように響く。


「自分の存在を忘れさせることができたときしか、被写体は重要性を持たず、写真は力を持たない。このような 態度によってのみ、なにかしら心を打つものに触れることができる」(p.145)

Book Picks

【本】★★★★
題名:アート:”芸術”が終わった後の”アート”
著者:松井みどり
(2002 / 朝日出版社)

80年から90年代の20年間のアートシーンを駆け抜ける。より深い知的欲求不満を満足させるというよりも、代表作を通じて時代の色や感触を味わうためのものです。社会情勢と有機的に絡み合いながら浮かびあがる表現の数々。意図的に作家が歴史的文脈を取り入れなくても、否応なしに時代の空気を感じ取り、影響され、表現せざるおえない欲求の塊。自然とそれら集合体は時代の風景画に見えてくる。

純粋に「観賞」を楽しむのではなく、「観賞」から何かを考えるというような受け手の変化も、まさに現在の状況そのもの。作品の作制に参加してもらうことで、社会的科学反応を起こす流れが強くなったのは、とても自然なことですね。

Book Picks

【本】★★★★
題名:高松次郎ー思考の宇宙
(2004 / 府中市美術館・北九州市立美術館)

『影』シリーズ、『遠近法・波・弛み』シリーズで思い出される方も多いハズ。デザイン界の重鎮、倉又史郎にも強い影響を及ぼした芸術家といえばこの人でしょう。不在が与える緊張感、そこにあってそこにない感触が持ち味の作品が多い。

できそうで、決してマネできない。ジャンルを問わず美術作品に必要不可欠な要素は、「緊張感」と「品」なのだと、作家の宇宙を漂いながら再認識する。

Book Picks

本】★★★★
題名:ぼくには数字が風景に見える
-Born on a Blue Day-
著者:ダニエル・タメット Daniel Tammet
(2007 / 講談社)

『レインマン』の主人公と同じサヴァン症候群といえば、大抵の方がどんなものか想像がつくのでは。著者自身の手記でもあり、もうひとつの美しい世界があ る。能力を育む周囲の愛情と彼自身の生き方から、多くのことを学ぶことができる。彼が静かに暗唱する円周率の美しい旋律、22,500個+αの数字ひとつ ひとつが、形、光、色を発しながら輝くスカイラインのような風景。想像するだけでゾクッとしてしまう。

語学にも天才的能力を発揮するダニエルは、
独自の言語『マンティ』を作りこう語っていた。



マンティは、ぼくが内面世界を表現するときの具体的な伝達手段となっている。それぞれの言葉がきらきらと美 しく輝いていて、色も質感もともなっている。まるで芸術作品のようだ。マンティで話したり考えたりすると、言葉で色を塗っている気持ちになる。

(p.199)