Book Picks
2009/12/12 コメントをどうぞ
【本】★★★★1/2
題名:みっともない人体
著者:バーナード・ルドフスキー
(1977 /鹿島出版社)
人類学、神学、社会学等々、枠組みなど軽々と飛び越え、小難しく区切ってしまうことが、いかにもったいないかをルドフスキー特有の思考のコラージュは教えてくれる。人類の社会的美意識の変化を衣服から掘り下げてみる試み。中国の纏足、コルセット、着物の帯など不自然に身体を締め付ける美学の裏に潜むものを垣間みたり。クリストの作品、ファッション、民族衣装、古代から現代までの様々な現象が繋がっていくのに、快感を覚えてしまう。
人間だけが、自分の肉体をかえてみたいという衝動を感じるようだ。動物たちの本能はもっと健康なので、そん な要求を感じることはない。人体のかたちは、芸術家たちにとってももっと偉大なもの、すなわち神によってデザインされているが、神の趣味は必ずしもわれわ れの趣味とは一致しないのである。人間は、最終的なかたちとして創造された自分のイメージをそのまま満足して受け入れたことは一度もなかった。
(p.117)