『世界を変えるデザイン展』 ワークショップ  no.7

「形にしないワークショップ」 (その2)
若者の防災意識啓発、防災力向上のためにできること

建築、デザイン、都市計画、社会学など異なる分野で活動する20代、30代の若者が防災意識の向上について考えてみる。A、B、Cとチーム別に分かれ、初回はメンバーと顔合わせと意見交換を行い、中2週間WEB上でやりとりをしながら公開プレゼンテーションの準備をするというかなり強引な企画。しかも勤務時間外に作業を行わなければならない。主催者側も、実験的な内容であるからどんな結果でるか楽しみだとういう。ご縁があり、私も参加することになりました。






Aチームからプレゼンテーションがはじまる。「そもそも防災意識」って?という問題からはじまり、経験値、物質、知識といった総合的な要素で構成されているのが防災意識になっているのではないかという結論から、さまざまな提案へと移行していく。アウトドア、防災カプセル、四コマ、バレンタインや母の日の贈り物、脱出ゲーム、サバイバル、伝書鳩、身ひとつ、といったキーワードが散りばめられた画面から、可能性を模索するような発表だった。オブザーバーをはじめ、「身ひとつ」に対する賛同者も多かった。身体を道具として使う、防災モジュールというのもありかもしれない。


Bチームは、日常生活の中で楽しみながら防災意識や知識向上させていくプランを発表する。15年前と現在では、情報を取り巻く環境が劇的に変化し、個人が情報を発信することや意見や感覚を共有すること自体がWEB上で普通に行われている。入口としてWEBや携帯電話などのデジタルコンテンツの仕組みを積極的に活用しながらも、アナログ的な防災知識へと結びつけていく。若者のみならず、高齢者などを含めた全年齢層で共有できる知識が防災でもある。そこで、「第六感」の統計を集め、「虫の知らせ指数」としてiphoneのアプリ、電車内の電光掲示板などで指数を共有する。天気予報のような感覚で毎日チェックをしながら、%の変化で色や表示される情報も変化していく。高齢者にはパソコンやiphoneの操作はまだまだ難しい状況を加味し、デジタルでありながらアナログの懐かしさを感じることができる「盆栽」を利用し、盆栽型インターファイスを考案する。虫の知らせを感じた時に簡単にボタンが押せる仕組みになっている。この「盆栽」という言葉は、ローマ字にすると「Bonsai」、そして「防災」は「Bousai」と「n」をひっくり返しただけという優れもの。駄洒落の世界を貫きながら、先人の深い智恵へとアクセスするロマン溢れるプロジェクト。


Cチームの発表は、作成されたカードゲームを各テーブルで実際に遊んでみるものだった。カードに書かれた質問に答えるいたって単純なルールだが、人間性が垣間みれる興味深いもの。パスは一回、積み上げられたカードを一枚めくり、震災時に体験するであろう事柄をシュミレーションしながら答えなければならない。すでにiphone上で『もしも』というアプリケーションを作成し、もうすでに完成されているプランに驚くばかり。iphone上のアプリケーションでは、やんわりと防災へ誘うために全く関係ない質問バージョンも混ぜられており、これがまた懇親会で大盛り上がりなのでした。初対面の人でも簡単に打ち解け合うことができる魔法のツールにも見えた。普段は覗けない意外な発想の源泉に触れることができたりします。


ワークショップの総括では、全チーム似通った提案を予測していたが見事に裏切られたことは、本当に驚きだったという。そして、防災意識を楽しみながら日常へとじんわりと浸透させる姿勢が共通していたという指摘があった。プロダクトをデザインすることが最終目的であるなら、結局そこからしか出発することができなかったであろう。今回のように問題そのものを捉えなおし形成されたアウトプットは、実にのびのびとしていることに気づく。あえて『形にしないワークショップ』としたことで発想自体がより自由なものになってくれたことは、主催者したプラス・アーツの永田さんはじめ多くの参加者にとっても新鮮な発見であり、今後も展開していきたいという。

私が参加したBチームは、誰が抜けてもプランが成立しなかったであろう絶妙なバランスがあった。短い期間だったけど、個性溢れるメンバーとのやりとりを思い出すだけで、今でもちょっと笑えてきたり。

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