Book: 『日本辺境論』

【本】★★★★

題名:日本辺境論
著者:内田 樹
(2010/新潮新書)

日本人だけど、いまだに日本人のことをよく分かっていません。という訳で、読んでみる。「日本人は辺境の民なんだよ」ということを通じて、納得してしまう事柄が多い。これも著者の類い希な論述によるものですが、やさしい言葉で本質を突いているため、もう読み出したら止まらない。辺境の善し悪しを問うものではなく、もうずっとこうなんだから、このへんでそこを理解してこれからを考えませんか?ということを正面切って述べている。個人的な出来事として、「学びは最高のエンターテイメント」と直感的に思い発言してしまった手前、「学び」についての章で我が意を得たり!と小躍りしていた。この意識そのものこそ辺境人の特性だとするなら、非常に興味深い。


「私はなぜ、何を、どのように学ぶのかを今ここで言うことができない。そして、それを言うことができない事実こそ、私が学ばなければならない当の理由なのである」、これが学びの信仰告白の基本文型です。「学ぶ」とは何よりもまずその宣誓をなすことです。そして、この宣誓を口にしたとき、人は「学び方」を学んだことになります。ひとたび学び方を学んだものはそれから後、どのような経験からも、どのような出会いからも、どのような人物のどのような言動からも、豊かな知見を引き出すことができます。賢者宇徳の人からはもちろん、愚者からも悪人からもそれぞれ豊かな人間的知見を汲む出すことができる。

人間のあり方と世界の成り立ちについて教えるすべての情報に対してつねにオープンマンドであれ。これが「学びの宣誓」をなしたものが受け取る実践的指示です。

メッセージのコンテンツが「ゼロ」でも、「これはメッセージだ」という受信側の読み込みさえあれば、学びは発動する。この逆説は私たち日本人にはよくわかります。気の効いた中学生でもわかる。でも、この程度の逆説なら「気の効いた中学生でもわかる」のは世界でもかなり例外的な文化圏においてである、ということをわきまえておいた方がいいと思います。

私たち日本人は学ぶことについて世界でもっとも効率のいい装置を開発した国民です。私はそう思っています。辺境の列島住民が「最高の効率で学ぶ」技術を選択的に進化させたのはある意味では当然すぎるほど当然なことだからです。辺境民がその地政学的地位ゆえに開発せざる得なかった「学ぶ力」が日本文化とその国民性の深層構造に(「執拗低音」のように)鳴り響いている。

(P.146-148)


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MIT Media Band vol.5 : FabLab特集!!

MITメディアラボの日本人研究者、遠藤謙氏、上田信行氏、そしてFabLabJapan発起人である田中浩也によるトーク番組:

MIT Media Band

毎週、先駆的なプロジェクト、教育や創造の可能性、第一線で研究されている方の体験などが紹介され、とても刺激的な番組です。今週の特集はなんとFabLab!


実は、10名ほどのメンバーが現地視察のため渡米しています。そのため、今回ゲストとして番組に参加します。留守番組は日本から遠隔サポートいたしますので、海を超えていろいろな議論ができたら素敵ですね。当日、お会いできるのを楽しみにしております!!

MIT Media Band vol.5  :  FabLab特集

●2月19日(土) 日本時間:午前10:00 -12:00


Book: 『哲学する赤ちゃん』:The Philosophical Baby

【本】★★★★

題名:哲学する赤ちゃん
著者:アリソン・ゴプニック  訳: 青木 玲
(2010/亜紀書房)

最古にして最新の領域。今までの哲学は、男性による解釈の領域であり、女性や子供が哲学の対象から外されて来たことは事実。本著の核となる、赤ちゃんの世界の捉え方が、禅僧のように瞑想に近い状態で周囲と繋がり広っているということに驚きながら、妙に納得してしまう。意識の変化を、昆虫の成長のたとえているのが印象的です。最初は蝶のような自由な意識が、知識を得て成長する中で芋虫のように固くなっていくという。これが何を意味しているのか、よく考えてみたいものです。子育てこそ最高の学びの要素を秘めており、本当の意味で人を成長させてくれる。女性は本能的に知っているけど、これに気がついている男性は、どれくらいるのかしら。


「この子は、全てを知っているのかも」と授乳していた友人の言葉をふと思い出す。


REALTOKYO: twitter機能追加

寄稿させて頂いているWEBサイト: REALTOKYOに寄稿者、読者がともに投稿できる

Twitter機能が追加されました。お楽しみくださいませ。

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一周忌:叔母はジョン・レノン

去年の今日、心不全で叔母が眠るように亡くなった。突然だったが、誰にも迷惑をかけず叔母らしい逝き方だった。そして、遺影がジョン・レノンそっくりだった。その後、遺族が迎える慌ただしい事務処理の日々を経験する。

一連の体験から心境の変化があった。前向きに、ただ前向きに、叔母の死から自分の人生を死から考え始めた。行き着いたのは、「自分の家族を持とう」という答え。叔母から最後の最後に、家族ってこういうものなんだということを学んだのかもしれない。人の死から学ぶことは、本当に計り知れない。いつも笑顔を絶やさない叔母には、どんな病気も怪我も、向き合うものではなく、どう上手くつき合っていくのかが大切だった。きっと家族をはじめあらゆる人間関係でも同じなのだろう。向き合うことよりも、一緒に心穏やかに歩いていければいいのだから。


「幸っちゃん、人生いろいろあるけど、きっとそういうことなんだろうね。」


叔母は何も答えず、笑顔だけ返してくれるのだろう。


The Sweet Meeting

パティシエの勉強をしている方の夢のお手伝い.

素敵なお菓子を頂き、テンションも上がりまくり、もはやお茶会状態. 実に楽しい. 4月にパリに行っていろいろと勉強されるそうなので、そちらの報告も楽しみです. シュガーという精緻な砂糖細工の話も実に興味深かった.

お土産のヨーロッパの伝統焼き菓子エンガディーナ、塩キャラメル、5層のチョコレートムースを堪能いたしました。もちろん手作りですよ.


美味しい料理やお菓子を作る人は、素直に尊敬してしまう.

Compass Strokes by Wim Mertens