Book Picks
2009/05/18 コメントを残す
【本】★★★★
題名:建築の知の構造
著者:アレキサンダー・ツオニス
Alexander Tzonis
訳:工藤国雄・川口宗敏・木下庸子
(1980/ 彰国社)
たまに、名著にぶつかる。原始的空間、ルネサンス、モダニズムや近代といった、各時代の象徴的な形態を生み出す基盤となる思考をなぞりながら、著者は《抑 圧なき環境》をひたすら模索している。思考を学ぶことは、様式をひたすら記憶するよりも大切なことかもしれない。建築、都市、あらゆる創作活動に携わる人 たちに、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
デザインは ’’社会的絵文字”である。
(P.241)
語りだけで人を魅了する講義をする方がごくたまにいる。
こういう至福の時、心の底からうらやましくなる。
彼は一枚のスライド(通例ここの人々は二枚のスライドを並べて使う)をたよりに延々と問題を解きほぐし、そのスライドの含む、あるいは示唆する問題の総体 へと、一歩一歩、いわばソクラテスの足どりで迫っていく。その点で、たくさんのスライドをまるであびせるように見せて、その資料総体にいかにもそれらしい 常識的な構図を与える彼の同僚の、いわば「見る授業」とは、著しく対称的だった。
(訳者まえがき より)